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Nipayashi
水椰子
〈ニッパヤシ〉
マングローブ林の陸側にかけて生育するヤシ科の常緑低木であり、西表島以南に分布している。密林を流れる水辺で羽のように大きな葉を広げながら、成熟すると繊維質の硬い集合果を実らせ、日本では希少価値のある無茎のヤシである。
〔世界分布:主要の地域名称〕
インド、東南アジア、オーストラリア、西大西洋
〔利用形態:本種については毒性報告なし〕
樹液は砂糖・酒・酢の原料、葉は壁や屋根材
日本国内の自生地/3カ所
〈分布地域/1県/2島/1市町村〉
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GoogleMap
自生地の全体地図
〈地形図と航空写真〉
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Overview
基本特性
〈系統や習性を知る〉
\ 木の語源 /
ニッパヤシの和名は、学名である「Nypa/ニッパ」に「ヤシ」を後付けで組み合わせた非常に解りやすい構成となっている。椰子の木は日本でも馴染みある言葉であるが「ニッパ」はあまり聞き慣れないため異国情緒あふれるロマンを感じさせる。
\ 学名由来 /
学名は「Nypa fruticans Wurmb」。フィリピン語で「Nypa」はニッパヤシを指し「fruticans」は低木を意味する。「Wurmb」は省略される事もあるが本種の分類階級を定めた1700年代のドイツ植物学者名に起源し学名はこれらの合成語である。
\ 植物分類 /
科名/ヤシ科:Arecaceae
学名/Nypa fruticans Wurmb
発音/ニッパ・フルティカンス
英名/Palm Mangrove
別名/ウォーターココナッツ
保護/絶滅危惧ⅠA類CR(環境省版レッドリスト指定)
\ 適応環境 /
気候/年平均気温24℃以上の亜熱帯地方
土壌/砂地よりも柔らかい泥質湿地を好む
水質/海水~汽水域に適応(耐塩性がやや低い)
開花/春夏:6月~8月(果実成熟は不定期)
繁殖/果実落下→海流散布→発芽開始→成木
植生/マングローブの後背群落(陸側)に生育
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Exterior
形態的特徴
〈識別に役立つ〉
\ 全体構造 /
木の形
樹形/扇形(オウギガタ)
区分/常緑低木(ジョウリョクテイボク)
性質/平均樹高2m-4mと低い
根の形
形状/地中で「根茎/コンケイ」を伸ばす
英名/Rhizome(リゾーム)
性質/根茎は軸が成長すると水平分岐
幹の形
形状/幹は無く「葉柄/ヨウヘイ」が発達
表面/葉柄は緑色で太く肌触りが良い
性質/横倒しの根茎先端から直角倒立
\ 器官組織 /
葉の形
形状/線状披針形の複葉で先端が尖る
表面/緑色、光沢質、長さ約50㎝-1m
性質/葉柄から羽状に広がり軸が固い
花の形
雄花/約10㎝黄色い穂状で茎に伸びる
雌花/黄色い球形で雄花の周辺につく
性質/雄雌別の単性花で虫が受粉媒介
実の形
果実/茶色の球状集合果で熟すと分離
単体/分離後は長さ約10㎝の倒卵型
種子/白いゼリー状で果実内から発芽
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Distribution
地理的分布
〈国内の分布状況〉
\ 列島分布図 /
鹿児島県 | 沖縄県 |
自生地数/0カ所 〔0島0市町村〕 |
自生地数/3カ所 〔2島1市町村〕 |
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Region
地域別群落
〈土地の景観性〉
\ 西表島 /
西表島(2カ所)のマングローブ林奥地で生育しており西部地区の船浦湾に注ぐヤシ川の群落は「国特別天然記念物」に指定されている。東部地区では大原川下流に自然漂着した種子が1株発芽しており後良川でも過去生育した記録が残る。
\ 内離島 /
内離島(1カ所)の成屋湿地で群生しており「環境省の特定植物群落」に指定されている。当地は人為的開発影響の少ない無人島で西表島(ヤシ川)と比べると繁殖規模や生育状態も良好なため、最近では湿地水路に新たな株が発芽した。
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