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Mayapushiki
浜柘榴
〈マヤプシキ〉
マングローブ林の海側にかけて生育するハマザクロ科の常緑高木であり、石垣島以南に分布している。針山のような筍根が地面に突き出ており、サガリバナのような華麗な花を咲かせ、小浜島西部や西表島東部のみに大きな群落が見られる。
〔世界分布:主要の地域名称〕
東アフリカ、東南アジア、オセアニア、西大西洋
〔利用形態:本種については毒性報告なし〕
果実や葉は加工食品、建築木材や木炭の原料
日本国内の自生地/22カ所
〈分布地域/1県/4島/2市町村〉
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GoogleMap
自生地の全体地図
〈地形図と航空写真〉
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Overview
基本特性
〈系統や習性を知る〉
\ 木の語源 /
正式和名は「ハマザクロ」で、「マヤプシキ」という名前は沖縄県西表島の方言に由来する。「マヤ」は猫を意味するもので、果実を実際に見てみると「猫のヘソ」を思わせる形をしており、「プシキ」はヒルギ類の海岸樹木を指す事からこの名が誕生した。
\ 学名由来 /
学名は「Sonneratia alba」。「Sonneratia」は1700年代後期にフランス植物学者の「Pierre Sonnerat/ピエールソネラ」が名づけたことに由来する。「alba」はラテン語で白い花びらという意味があり、学名はこの組み合わせで決定した。
\ 植物分類 /
科名/ハマザクロ科:Sonneratia
学名/Sonneratia alba
発音/ソネラティア・アルバ
英名/Apple Mangrove
別名/マザプス、マヤピシキ、マヤプシギ
保護/準絶滅危惧NT(環境省版レッドリスト指定)
\ 適応環境 /
気候/年平均気温24℃以上の亜熱帯地方
土壌/軟らかい砂地や泥質湿地を好む
水質/海水~汽水域に適応(耐塩性が高い)
開花/夏季:7月~10月(果実成熟は6月~11月)
繁殖/果実落下→海流散布→種子分散→発芽
植生/マングローブの前面群落(海側)に生育
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Exterior
形態的特徴
〈識別に役立つ〉
\ 全体構造 /
木の形
樹形/円蓋形(エンガイケイ)
区分/常緑高木(ジョウリョクコウボク)
性質/平均樹高3m-5mと普通
根の形
形状/筍根(ジュンコン)が地上に現れる
英名/Pencil-Root(ペンシルルート)
性質/呼吸機能、細胞壁で塩分濾過
幹の形
形状/幹はやや太く枝が複雑に曲がる
樹皮/茶・灰色で少し垂直亀裂がある
性質/樹皮は防腐力あるタンニン含む
\ 器官組織 /
葉の形
形状/倒卵形の対生で先端部が丸い
表面/黄緑色、光沢多肉質、長さ約5㎝
性質/葉内は減塩対策のため水分豊富
花の形
外部/三角形をした緑の萼(ガク)が6枚
内部/白色をした雄しべが糸状に密集
性質/雄雌両性花で夜に虫が受粉媒介
実の形
果実/柿と似た緑の球形で直径約5㎝
種子/半環状形で果実に数百個入る
性質/種子は果実内から放出され発芽
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Distribution
地理的分布
〈国内の分布状況〉
\ 列島分布図 /
鹿児島県 | 沖縄県 |
自生地数/0カ所 〔0島0市町村〕 |
自生地数/22カ所 〔4島2市町村〕 |
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Region
地域別群落
〈土地の景観性〉
\ 石垣島 /
石垣島(2カ所)に自生しており島内では最も絶滅危惧されてるマングローブ樹種である。過去には伊野田川や磯辺川河口で巨木が生育していたが護岸工事の影響で昭和62年頃には完全消失し、現在は名蔵湾周辺に数本のみが残る。
\ 小浜島 /
小浜島(1カ所)の石長田海岸で良好に成長しており群落としては世界最北端に位置づけられる。樹高3m程度の中木が海岸最前部のマングローブ林内でまばらに見られ、細崎寄りよりもアカヤ崎寄りにかけて個体が集中している。
\ 西表島 /
西表島(18カ所)に大きな群落があり海岸から河口に密集している。西表島東部の仲間川や古見地区にある後良川では個体が高頻繁に出現するほか、西表島西部の網取湾に流れるウダラ川下流では小さな自生地が近年発見された。
\ 由布島 /
由布島(1カ所)では島の西側にあるマングローブの浜辺に数本生育しており大きな群落は存在しない。樹高は3m前後でタケノコのような筍根を地上に力強く伸ばしており、対岸の西表島(美原干潟)では古木が所々群生している。
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